2016.06.25

新ブランド「きらい」。キライはスキの裏返し、嫌いになりたくてもなれないほど「虜」にするお酒を目指しております。

四国山脈と吉野川に囲まれた美馬市で明治29年より酒造りを続ける司菊酒造。
「曽祖父が立ち上げ、お酒の香りが漂うなかで育ってきました」と穏やかに話すのは現在杜氏を務める苛原靖さん。
2000年より杜氏を引き継ぎ、原料にこだわった酒造りをしている。
 

例えば、水は創業より使っている四国山系竜王山の地下伏流水に加え、穴吹川の源流水も使うようになった。
「日本一の清流といわれるほど良質の水が近くにあるのに、使わないのはもったいないと思ったんです。」
苛原さん自身が穴吹川の源流へトラックを走らせ、タンクに水を汲んできているのだという。
「源流水は四国山系の伏流水よりも軟水なので、柔らかい味のお酒ができるんです」とにっこり。
この水で誕生したのが香り爽やかな「純米酒　穴吹川」である。

お米も然りで、5年ほど前からは山田錦と他のブランドをかけあわせた酒造好適米「吟のさと」を自社栽培するように。
この吟のさとで造ったのが「喜来（きらい）」である。

司菊のお酒は、かつて新潟から来ていた越後杜氏の淡麗辛口が基礎になっている。苛原さんの代になってからは、より地元に合うように、さらに時代の流れに合わせたお酒を目指すようになった。
「大量に造ってたくさん売るという時代ではない。純米大吟醸や大吟醸など高級酒を主力にした酒造りにシフトしています。材料にこだわるのはそのため。造り方も以前は機械でしていたことをより丁寧にするために手作業に切り替えたり。時代に反してますけどね。」と苦笑する。

「難しいのは去年美味しかったから今年も、と思っても同じようにできないところ」。気候やお米の出来具合が影響してくる酒づくり。「今年のお米はどれくらい水分を持っているか、それによって洗い方も変わります。1年たったらまた1からのスタート。それが難しくて面白いところですね」。

司菊が1年で最も忙しくなる大寒がまもなく訪れる。